そっか。
　もうすぐ一学期の終わりなんだ。
　だからなんだということは何もないけれど、すごく、そう思った。
　人にいろいろめんどくさい理屈を考えさせる作品よりも、なんでもないことにふと感慨を覚えるような、そんな作品のほうがきっとすごいんだと思う。だって、理屈は論文でもなんでも他に方法があるけれど、こんな感慨は「物語」にしか発生しないもの。

　前回は、解決編を次週に控えてる状態だったんで敢えて書かなかったけど、いちばん罪深いのはどー考えたって、特にはっきりした意志もなしに勝手に踊ってやがる名もない「その他大勢」だろ。自分の頭で考えろ馬鹿。卑怯なことやってる自覚のある首謀者はまだマシだよ。だいたい、もし仮に宮沢が腹黒だったとして、有馬がそれに気付かないとしたらそれだけの男だったってことじゃあないのかねぇ。

　「誰も分かりはしない」と言う井沢真秀(でいいんだよね?)だけど、「分かって欲しいと思っている自分」を自覚できるのはまだ先なのかな？
　たださぁ、人は誰でも自分のことをわかって欲しいと願うものだけど、じゃあ自分は人に理解してもらうほどに大した人間なんだろうか。私がアンタの理解者にならなきゃなんない謂れはないよって、言われちゃったらそれまでなんだよね。だから俺はいつも途方に暮れる。自分には、他人に受け入れてもらえるほどの価値が見当たらないから。

　また暗い話になったんで全然関係ない方に振るけど、コミカルなシーンで「うにょうにょ」動くのがなんともカワイイっすね。芝姫が写真を欲しがるシーンとか。ああいうのも、マンガにはできないアニメならではの表現だよね。

　今回のエピソード、宮沢と有馬の関係を乱すための話ではないんだよね。単に、宮沢が彼女の日常を暮らしていくためのエピソード。それが、「良質な物語」ということの証。安っぽいラブコメなら、話を長引かせるためだけに、二人の恋が横道に逸れるエピソードばかりをてんこ盛りで用意してくるところだ。