恋する者は、常に欠落し、渇望する。
　会えないから不安定なのだとしても、会ったからといって安定するわけではない。
　恋するということ自体が、何らかの不安定要因だ。その不安定さが、たまらなくドキドキすることだったり、張り裂けんばかりのせつなさだったりする。楽しい恋も、苦しい恋も、同じものなのかもしれない。

　インターハイで優勝しても、有馬はあんなだから、あんまり自分をすごいと思ってないだろう。そんなに嬉しいとも思わなかっただろう。良かった、とか、やった! とか、あんまり。
　「でも、宮沢がこんなに喜ぶなら、それはすごいことなのかもしれない」
　「優勝して、よかった」
　そう、思えただろう。

　なんて幸せなことなのだろう。
　同じ人に、何度も恋できるとしたら。途切れなく。
　"永遠の愛は存在するか?" 人は度々問う。
　少なくとも、この恋が続く限りは。

　背景に置いた「宮沢母・高校生」の絵は、この回の週報だったかどうかよく覚えてない。文章が少ないのでたぶんこの回だろうと思ったんだけど。