相変わらず、無駄に変な事件をお膳立てることもなく、二人の物語は過ぎていく。
　どうしてだろう。いわゆるラブコメ系の物語が、常に「恋のライバル」の横車にさらされ続けているのは。
　どうしてだろう。二人を近づけたり離したりするためだけに「大事件」が起こり続けるのは。
　どうしてだろう。真に恋が素晴らしいものであるのなら、ただ二人が居る、それだけで人の日常は出来事に満ちている筈なのに。

　物語のスタンスが頭に馴染んできたのか、すっかり安心して見ている。今日この頃。
　始まってしばらくは、「安心できない」という点で「信頼して見ていた」。
　少年マンガ的ラブコメや、ギャルゲー的ラブコメにあまりに慣れ親しんでしまった頭には、『かれかの』は不安感を抱かせる物語だった。そしてその点においてこそ、信頼のおける物語だった。これが、あたりまえなんだと。

　「他１本」の方は、なぜ今このエピソード？という気はする。
　そういうことなら、知ってたよ。知らなかったけど、知ってる。有馬はきっとそうだっただろうって、これは「確認」だ。「読者の知らない昔の有馬のエピソード」ではなくってね。まぁ、確認するのも悪くはないけど。

　相変わらず挿入カットの使い方は最高レベル。間(ま)を紡ぐ技術では他の追随を許さない。でも信号機は清掃してくれ。